馬はなぜ神の乗り物か ― 馬・馬蹄・水文に宿る祈り
2026年は午年。馬をデザインした特別限定の器をつくりました。
2026年は、60年に一度の「丙午(ひのえうま)」。火の気が最も強く重なる年とされ、勢い・決断・挑戦が実を結ぶ一方、火が過ぎれば燃え尽きるとも言われている年運だとか。だからこそ、水の気を取り入れ、火と調和させることが大切になります。
そこで、
勢いと福を運ぶ“馬”
幸運を受け止める“馬蹄”
火を調え運を巡らせる“水輪・波文”
この3つの吉祥文様を組み合わせてデザインしてみました。詳細は画像をご覧ください。デザインを考える上で、あらためて、馬や馬蹄について調べてみました。


馬と神の世界
古来、人は馬に神秘的な力を感じてきました。風のように駆ける姿、地を力強く蹴る足、遠くまで瞬く間に駆け抜ける速度。馬は、人の世界と神の世界を結ぶ存在として畏敬の対象となりました。
東西の文化に共通して、馬は神の乗り物、神の使いとして描かれます。古代インドでは太陽神スーリヤが馬に引かれた車で天を駆け、中国では天界から降りる霊獣「天馬」として信仰されました。日本では古墳時代、朝鮮半島を経て馬文化が伝来すると、すぐに祭祀に取り入れられました。『日本書紀』には天皇が神に馬を奉げる記録があり、白馬は清めや浄化の力を持つとも信じられていたことから、平安時代には白馬を「神馬(しんめ)」として神前に供える習慣が定着。伊勢神宮、神田明神、上賀茂神社で「神馬」をご覧になった方もいらっしゃると思います。また、多くの神社で見かける「絵馬」にもその名残が見られます。
馬は単なる力強さの象徴ではなく、祈りや願いを天に届ける存在です。同時に前進と生命力の象徴でもあります。器に馬を描くことは、想いを天へ届ける祈りの形であり、馬は吉祥の印でもあります。

馬蹄文様に込められた意味
馬の象徴をさらに深めるのが「馬蹄文(ばていもん)」です。蹄は神を乗せた馬が地を踏みしめた接点。すなわち天と地をつなぐ「媒介」であり、運気を留める「円環」として尊ばれました。西洋では馬蹄は幸運のお守り、日本でも魔除けや守護の意匠として用いられてきました。
馬蹄は器の中で、神気が地に満ちる瞬間を象徴します。蹄の輪は、巡る生命、循環するエネルギーを形にしたものです。馬の力強い動きと蹄の安定した円が一つになることで、器全体に「神聖なめぐり」が宿ります。見た人や手にする人に、静かで力強い調和の気配を届けるのです。

水文と生命の調和
馬は五行思想で「火」に属します。その情熱と生命力は強く魅力的ですが、同時に暴れやすい火の気でもあります。そこに水文や水輪文を添えることは、自然の理にかなった調和の表現です。水の文様は清め、流れを整え、火の力を穏やかに循環させます。動と静、陽と陰のバランスがここに生まれます。




馬、馬蹄、水文。この三つの要素が揃うと、器は単なる美しい形以上の意味を持ちます。天と地をつなぐ馬の力は蹄により大地に刻まれ、水の流れによって浄められ循環する。まさに「神気がめぐる器」です。それは、生命のめぐり、祈りの循環、天地の調和を象徴しています。


こうした深い意味を込めて午年の特別限定器をデザインしました。この器から、神と人をつなぐ力を感じていただけましたらとても嬉しいです。
注
この器たちとともにお正月を迎えていただきたいと思うものの、ひとつひとつ手で描いているため、年末までお届けできる個数に限りがあります。年末までの届けをご希望の方は、11月22日までオーダーいただけますようお願いいたします。
年末までのお届け数以上にオーダーいただいた場合は、2026年2月3日までにお届けします。ただし、七寸皿と八寸皿は、限定枚数がなくなり次第終となります。
